「愛しきふるさとよ 我が魂 ここに輝く」〜宮城県仙台市・仙台城跡〜

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「愛しきふるさとよ 我が魂 ここに輝く」
〜宮城県仙台市〜

絵 はせがわいさお お話 はせがわ芳見

震災から丸十年となる
三月の満月の夜のこと。
スターリィマンは
宮城県仙台市を訪れました。

仙台城跡の石垣に沿って
坂道を登っていくと、
宮城県護国神社の表参道鳥居の上空で
一羽の鷹が待っていました。

「スターリィマン!
よく来てくださいました
ぜひご案内したい場所がございます
さぁさぁ どうぞこちらへ!」

鷹の後を追って鳥居をくぐり、
階段を上へ上へと登っていくと、
天守台に辿り着きました。

天守台は高台になっており、
仙台の街が一望できます。

「スターリィマン
ご紹介したいお方がございます」

鷹が旋回する先に月明かりに照らされた
大きな銅像が立っていました。

「このお方は伊達政宗公です
政宗様 お連れいたしました」

銅像が青白く光り輝くと伊達政宗公が、
スターリィマンの方を見て語りかけました。

「スターリィマン ようこそ我が仙台へ」

「初めまして 伊達政宗様
お目にかかれて光栄です」

「スターリィマン 見よ
あの眼下に見えるのが
仙台の街である」

政宗公が指し示す方向には、
星空のように煌めく
仙台の夜景が見えました。

「震災でここから見える景色は
一変してしまった

しかし 皆が力を合わせ
ようやくここまで復興したのだ

その復興を支えてくれた皆々にも
心から感謝したい
スターリィマン
そなたにも礼を言うぞ」

「いえいえ とんでもございません
地域の皆様が苦難に立ち向かい
力強く復興されていく姿には
大きな勇気をいただきました」

スターリィマンは深々と一礼しました。

「仙台という地名は
もともと《千代》という名の地を
余が《仙臺》と改め名づけたものが
現代になって《仙台》と
記すようになった

仙台いう名前には
この地を人の住む理想郷にしたい
という願いが込められているのだ」

「そうだったんですね」

スターリィマンが頷くと、
上空から鷹が語りかけました。

「それだけではありません
仙台が杜の都と呼ばれているのを
ご存知でしょうか?

政宗様がお城をこの地に移した頃
辺りは草が生い茂るだけの場所でした

それを政宗様は武家屋敷には
栗、梅、梨、柿などの果実のなる木や
欅、杉、松、竹など木材になる木を植え
飢餓に備えるよう家臣に命じたのです

さらに神社仏閣にも多くの木々を植えて
長い月日をかけて緑豊かな地になりました

ただ一度 仙台に空襲があった時
すべて焼失してしまいましたが
再び緑豊かな杜の都へと蘇ったのです」

「政宗様の功績は他にもございます!」

伊達政宗公像をお守りしている
狛犬たちも語り始めました。

「治水整備や新田開発を積極的に行い
人口増加で深刻な米不足だった江戸に
大量のお米をお納めしておりました

宮城県が全国有数の
米どころとなったのも
政宗様のお力のお陰です」

「それから 仙台名物として有名な
仙台味噌やずんだも政宗様が
普及させたものなのです
それだけではございませ・・・」

「これこれ お前たち
もうそのくらいでよいではないか」

息を切らせながら語る狛犬たちや鷹を
政宗公が止めました。

「政宗様はまさに今の仙台の礎を
築かれたお方だったのですね」

スターリィマンが感慨深く頷くと、
政宗公が静かに語り始めました。

「余は戦国の世に生まれ
争いの絶えぬ波乱に満ちた生涯であった

幼少の頃 天然痘を患い右目の視力を失い
すっかり自信をなくし卑屈になった

しかしそんな己の弱さを克服するために
辛抱に辛抱を重ねて幾度の戦を乗り越え
仙台藩主になった

一時は天下統一も夢みたが
江戸幕府に忠義を尽くし
我が仙台藩の産業や文化の発展に
注力してきた

我が辞世の句
『曇りなき 心の月をさき立てて
浮世の闇を照らしてぞ行く』

先のわからない戦国の世を
月の光を頼りに進むかのごとく
自分の信じた道を頼りに
ひたすら歩いてきた人生だった

それから四百二十年余り
仙台の人々は余の遺志を継ぎ
東北地方唯一の政令指定都市として
大きな発展を遂げている

余はこれからも仙台の人々が
豊かで幸せな未来を繋いでゆけるよう
この場所から仙台の街を見守り続けたい

スターリィマン そなたも
自分の進むべき道を信じ歩み続けるのだ

また時折 仙台を訪れ顔を見せてくれ
旅の安全を祈っておるぞ!」

「はい ありがとうございます!
またお目にかかれますのを
楽しみにしております」

スターリィマンは政宗公と狛犬に
深々とお辞儀をすると鷹に導かれ、
次の場所へと向かいました。

今日も伊達政宗公は、
「愛しきふるさとよ 我が魂 ここに輝く」
と仙台の街を見守っています。

『荒城の月』

春高楼(こうろう)の 花の宴(えん)
巡る盃(さかづき) 影さして
千代の松が枝(え) 分け出でし
昔の光 今いずこ
 
秋陣営の霜の色
鳴きゆく雁(かり)の数見せて
植うる剣(つるぎ)に照り沿いし
昔の光 今いずこ
 
今荒城の 夜半(よわ)の月
変わらぬ光 誰(た)がためぞ
垣に残るは ただ葛(かずら)
松に歌う(うとう)は ただ嵐
 
天上影は 変わらねど
栄枯(えいこ)は移る 世の姿
映さんとてか 今も尚
ああ荒城の夜半の月

※伊達政宗公像の前には
 「荒城の月」の作詞家で
 仙台市出身の土井晩翠氏の碑と
 「荒城の月碑」が建っています

「愛しきふるさとよ 我が魂 ここに輝く」
〜宮城県仙台市・仙台城跡〜
(M20号キャンバス)
絵  はせがわいさお
お話 はせがわ芳見