スターリィマンと旅する沖縄の原風景「識名園」
スターリィマンと旅する沖縄の原風景
「識名園」〜沖縄県那覇市〜
絵 はせがわいさお お話 はせがわ芳見

第9話 識名園での出会い
スターリィマンと私は
沖縄の世界遺産 最後の9つ目である
識名園を訪れました
すると どこからともなく
青い目をしたシャムネコがやってきました
スターリィマン ゆいちゃん
識名園へようこそ!
ぼくが案内するよ ついてきて
シャムネコの後を追って
うっそうと茂った樹木の石畳の坂道を通り
ガジュマルやアカギのトンネルを抜けると
大きな池が現れました
ここ識名園は琉球王家の最大の別邸で
国王一家の保養地としてだけでなく
中国皇帝からの冊封使の接待のために
18世紀終わり頃に建てられたんだって
向こうに立派な赤瓦の建物があるでしょう?
あれは王家の御殿で15もの部屋があって
琉球の上流階級の格式高い住居の姿を
今に伝えている木造建築なんだ
ここから望む池の風景は素晴らしいでしょう!
一番大好きな景色なんだ!
池には大小の二つの石橋があり
池に浮かぶ六角堂に架かる小アーチの石橋は
一つ石の琉球石灰岩で出来ていて中国風
大の石橋も中国風で上から池を見ると
漢字の「心」をくずした形になっていて
日本庭園に用いられている
それぞれ2つの国の良いところを
取り入れた琉球庭園になっているんだよ
わぁ!それは素敵だわ!!
双方を思いやる心が伝わるわ
私も大小の石橋が大好きになったわ
ゆいちゃんの心が嬉しいなぁ!
実は ぼくのご先祖様は
当時の冊封使に連れられて
琉球にやって来た
長い間 琉球に住まい子孫が生まれて
その子孫の一人がぼく
そうだったの
私は首里で生まれて今はひとりぼっち
えぇ!ゆいちゃんも一人なんだね
なんかぼくたち通じ会えるものがあるね
「本当ね」
そう言いながら私たちはにっこりと
ゆいちゃん! ぼくはシャムネコだけど
でも、沖縄生まれの沖縄育ちの猫として
これからもずっと沖縄で生きていく
ぼくの幸せになる居場所は沖縄なんだ
ゆいちゃん、これからもよろしくね!
シャム 私こそ!どうぞよろしくね
私たちは幸せ色に染まる
夜明けの一番星を見上げていたの
するとスターリィマンは
希望と未来の風船を飛ばしてくれたわ
あの先に私たちの未来を輝かす
夢が待っていると願った瞬間に
大きな流れ星が輝いたの
今日のこの瞬間を忘れない
この輝きを琉球沖縄の未来に届けて行こうね
そう誓いあって私はスターリィマンと
首里の街に帰っていったの
スターリィマンと旅する沖縄の原風景(第9作目)
「識名園」(M20号キャンバス)
絵 はせがわいさお
お話 はせがわ芳見
